数年前に神保町をぷらぷらしている時に、すごいかっこいいカバーのSF小説(三体Ⅱ 暗黒森林)があって気になっていたのですが、その時は本格SF小説を読む気力がなく購入しませんでした。その後しばらくしてネットで三体がどうやらとんでもないSF小説であるということ知り、今度は読みたくでウズウズし始めまして、年末年始で一気に5冊読み切りました。またその後に発売されたスピンオフの三体Xも読みました。なので合計6冊ですかね、結構なボリュームでした(汗)
・三体Ⅰ
・三体Ⅱ 黒暗森林(上・下)
・三体Ⅲ 死神永生(上・下)
・三体X (三体著者 劉 慈欣氏公認の宝樹氏によるスピンオフ)
まず全体的な感想としましては(読んだのが半年以上前なのでかなり記憶が薄まっているのですが…)、噂通りにめちゃくちゃ面白かったです!特に僕は大学受験のときにスタートレックにドはまりして宇宙物理をやるために物理学科を受けたりしていたので(とある大学の物理学科も合格しましたが、費用の問題で親に反対され近所の大学の別の学科に進学…)、色々な物理学のうんちくがかなり刺さりました。
よくネット上で文系の人でも読めますか?という質問を目にしますが、答えとしてはYes。理系の知識がなくても、普通に楽しめると思います。ただ本当の意味でこの三体という小説を味わい尽くすのは難しいかなと思います。それはなぜかというと、理系の人は感覚的に基礎研究と応用研究の違い、理学と工学の違い、電磁波スペクトル(ガンマ線からの波長分布)、微積分の概念や物理的解釈、近代科学史(ノイマン、ポアンカレ、ライプニッツ等の様々な分野の科学者が出てきてましたね)、基礎的な素粒子論等が分かっていて、それに関わる内容が小説の随所に登場するからです。少し脱線しますが、FORTRANなんて大学1年のとき、授業で半泣きでやりましたよ(笑)あと第2宇宙速度なんかは高校物理の演習問題に出てくるもので、理系なら超なつかしーって感じです(笑)いずれにして、もし少しでも三体に興味がある方は、読んでみることをおススメします。
1巻目の三体Ⅰは全体の導入部分なので仕方ないのですが、これ本当にSF小説か?と思うぐらいSF味のない感じで始まります。ただ我慢して読み進めていくと後半から徐々にSF的な要素が出てきて、一気にその世界観に飲み込まれていきます。黒暗森林と死神永正はノンストップで読み切ってしまいました。またスピンオフの三体Xは本編に負けず劣らず面白かったです。正直、個人的には三体Xが一番面白かったです。というのも、宝樹氏が読者の立場でもっと知りたい部分にフォーカスを当てて創作したものなので、それは当然なのかなと思います。ただその内容は素晴らしく、劉 慈欣氏が公認するのも納得です。いきなり朝河蘭の名前が登場したときは笑いましたが(笑)
三体を読んでいて個人的に特に面白かった部分は、智子の製造場面の描写と、10次元宇宙&次元攻撃に関する解説。著者なりの科学的解説を展開しており、心が躍りました。三体とは関係ないのですが、スタートレックのQ等の生命体もこういった高次元宇宙からやってきてて、人間じゃ手も足も出ないわなと勝手に想像していました(笑)
また小説の内容とあまり関係ないところで個人的に気になった部分は以下。
・情景描写が長い、読んでて疲れる。
・登場人物がスーパーエリートばかり、そんなことあるか。。
・中国の人名がまったく頭に入ってこない。今でも覚えているのは、ルオジーとソフォンのみ(笑)
・『踵を返す』の表現が多すぎ、状況に応じて少し表現変えたらいいのにと思いました(笑)
最後に三体とは全く関係ない話ですが、僕は就職氷河期末期に大学を卒業したので、物理学科に行って宇宙物理を専攻していたら、たぶん就職に相当苦労していたと思います。今となっては物理学科への進学を却下してくれた親に感謝しています^^